狼社長の溺愛から逃げられません!
 



社長のことが、好きで好きで仕方ない。
彼がどんなにひどい男だったとしても、私のことを都合のいい女だと思っていたとしても、それでもいい。


好きな気持ちが押さえきれなくて涙があふれる。

今にもこぼれそうなくらい涙をためて口をつぐんだまま、首を横に振る。
これじゃまるで駄々をこねる子供みたいだ。

そんな子供じみた行動をする私を、社長が小さく笑う。

指先であごをつかみ、上を向かされた。
潤んだ瞳で見上げると甘く微笑まれ、言葉にならない想いがこみ上げてぐっと喉が苦しくなった。

「そうだ、土産がある」

思い出したようにそう言って、ポケットからなにかを出してぽんと私の手のひらの上においた。
見れば、自分では決して買わないような高級ブランドの口紅だった。

「俺はよくわからないから、向こうの知り合いにお前に似合いそうな色を選んでもらった」

そう言いながら、私の腰に手を回し引き寄せる。
だけど、お礼を言う前にその『知り合い』という言葉がひっかかって体が強張った。


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