狼社長の溺愛から逃げられません!
「なんだこれは」
「それは……」
威圧的な声で問われ、口ごもる。
「『ルイーズ』の批評か。誰が書いた文章だ」
「え、映画評論家の小笠原さんが……」
「小笠原?」
その名前に、明らかに社長の声が低くなる。
「雑誌の映画紹介コーナーに、この原稿を載せるけどいいかって見せられて……」
そう言うと、社長は大きなため息をついた。
「くだらない」
そう吐き捨てられ、私は驚いて目を見開いた。
「くだらないって……! これが雑誌に載せられたら、『ルイーズ』の評判が落ちちゃいますよ!?」
「放っておけ。好きにさせればいい」
慌てる私に社長はそう言って、興味をなくしたように原稿を私に突き返した。
放っておけ、なんて。
好きにさせればいいなんて。
なんでそんなことを……。
呆然としながら社長のことを見る。