狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「監督は本当に映画が好きなんですね」

如月監督のいきいきとした表情に思わずため息をついてしまう。
すると監督は不思議そうに首をかしげた。

「映画が好きなのなんて、俺だけじゃないでしょ」
「そうですけど……」
「俺なんかより黒瀬の方がよっぽど映画バカだと思うよ」

社長の名前を出され言葉につまって黙り込むと、如月監督が「そうだ」と背負っていたリュックからタブレットを取り出した。

「俺と黒瀬が配給会社で働いてたころの写真あるけど見る?」

そう言いながら、タブレットに触れて親し気に笑う四人の姿が写った写真を見せてくれた。

「わ……!」
「若いでしょ。入社したばっかりの頃。十年くらい前かな」

写真の中には無邪気に笑う社長の姿があった。

今よりも髪が短くてラフな服装のせいかとても若く見える。その横には如月監督。

そしてそのほかのふたりに、私は目を見開いた。


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