狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「みんなそれぞれ、お互いのことをそう思ってるんですか?」
「そうじゃない?」
「小笠原さんも社長も、ですか?」
「たぶんね」

当然のようにうなずかれて、胸があつくなった。

社長がどうして小笠原さんの書いた『ルイーズ』の評論にまじめに取り合わなかったのか、分かった気がした。
じっとしていられなくて勢いよく立ち上がった私を、如月監督がきょとんとして見上げる。

「どうしたの? 突然立ち上がって」
「ちょっと、小笠原さんと話してきます。如月監督、ありがとうございます!」
「なんだかよくわかんないけど、どういたしまして」

ケラケラと笑いながら手を振ってくれる監督にぺこりと深く頭を下げ、私は走り出した。






 

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