狼社長の溺愛から逃げられません!
6
小笠原さんにもらった名刺を探し出し、書いてある番号に電話をかけ「会って話をしたい」と言うと、自宅の住所を教えてくれた。
緊張しながらも自分に気合を入れ、言われた住所に向かう。
ついた場所は一階部分がレンガづくりになったレトロなマンション。その六階を見上げ、ふーっと大きく息を吐く。
ぎゅっと手のひらを握りしめて、一歩踏み出した。
インターホンを鳴らすと、鉄の扉が開かれる。
開いた隙間から顔をのぞかせた部屋着姿の小笠原さんは、黒い眼鏡の奥の瞳で私のことを冷たく見た。
「あの原稿を雑誌に載せないかわりに、俺に抱かれる気になった?」
そう冷たく聞かれ、無言で首を横に振る。
その場に立ったままじっとみつめていると、小笠原さんは呆れたようにため息を付き扉を大きく開いてくれた。
「とりあえず、入れば」
そっけなく言われ、頭を下げる。