狼社長の溺愛から逃げられません!
「ゆ、指輪……! いいんですか!?」
驚いて目を見開くと、こちらに体をむけて笑った。
「これはちゃんと俺が選んだから」
私の頬を指でなぞりながらそう言う。
「……口紅、なにも考えずにほかの女に選ばせたのを渡して、ごめんな」
顔をのぞきこまれ、甘くささやかれる。
指輪が入った箱を胸元でぎゅっと抱きしめて、私は首を横に振った。
「わ、私こそやきもちを妬いて、勝手に怒ってすいませんでした……」
そんな私に、社長はちいさく息を吐いて笑う。
「嫉妬したんだ?」
「……しました。すごく」
こんなことでいちいち嫉妬をするなんて、面倒な女だと思われるかな。そう不安になって社長を見ると、嬉しそうに笑っていた。
「いつも俺ばっかり嫉妬させられてたから、ちょうどいい」
「嫉妬、してたんですか? 社長が?」
そう驚くと睨まれた。不機嫌な表情が色っぽい。
「してたよ、いつも。お前の元カレにも妬いたし、古賀にも妬いた。お前はあぶなっかしいから、いつもハラハラさせられてた」