狼社長の溺愛から逃げられません!
「お、お似合いだなんて……!」
「だって社長って、前から美月ちゃんにベタ惚れだったでしょ」
「そんなことないです! からかわないでください……!」
そんなことを言われ恥ずかしくなって、両腕で顔を隠した。
あの社長と私がお似合いだなんてお世辞に決まってるけど、それでも嬉しい。
社長が私にベタ惚れなんてありえないのに、動揺してしまう。
落ち着け私。うかれちゃだめだ……!
「喜びと恥ずかしさと動揺とで真っ赤になってる。美月ちゃんって本当にわかりやすくて可愛いよね」
そんな私を見て華絵さんがクスクスと笑った。
「もう華絵さん、面白がってますよね?」
顔を覆っていた腕の隙間から、涙目で華絵さんのことを睨む。
「あー、もう。社長が美月ちゃんを溺愛して周りを威嚇したくなっちゃう気持ちわかるわ」
そう言いながら華絵さんが手を伸ばし、私の頭を乱暴になで回す。
「華絵さん! 髪の毛がからんじゃうからやめてくださいよー!」
「だって、可愛いんだもん」
きゃあきゃあ言いながら華絵さんの手から逃げ回っていると、その横で私たちの会話を黙って聞いていた古賀さんが、大きくため息をついた。