狼社長の溺愛から逃げられません!
「お前が会社の試写室に忍び込んで泣きべそかきながらあの映画を見てるのを見つけたとき、昔の自分を見てるのかと思ったよ」
瞬きをしてこちらを見る。その優しい表情に胸がしめつけられる。
社長のことが好きで好きで、たまらなくなった。
「社長……」
「ん?」
「好きです」
そう言って身を乗り出し、社長の唇にキスをした。
自分からキスをしたのがなんだか気恥ずかしくて、社長の胸にぎゅっと顔をおしつけてしがみつくように抱きつく。
すると社長は笑いながら、ぽんぽんと私の頭をなでてくれた。
触れた手のひらから愛情が伝わってきて、それだけで嬉しくなる。
「社長。今は体大丈夫なんですか?」
社長に抱きついたままそう聞くと、頭上で社長がうなずく。
「あぁ。今はもう完全に治った」
よかった。そう安堵しながら胸に押し当てていた顔を上げて社長を見上げる。
「なんの病気だったんですか?」
「喘息だ。ガキの頃発作がひどくてしばらく入院してたけど、今は全然……」
「喘息!?」
社長の言葉に驚いて、抱きついていた体を離す。