狼社長の溺愛から逃げられません!
 

しょんぼりと肩を落としたままの私を見た華絵さんが、「彼氏に振られて落ち込んでるの?」と聞いてきた。

「そりゃあ、落ち込みますよ。二年も付き合ってたのにあんな振られ方じゃ」
「美月ちゃんの彼氏って、一年前に浮気されたって落ち込んでた彼でしょ?」
「……そうです」

下を向いたままうなずく。

努に浮気をされて落ち込んでいた時、華絵さんは理由も聞かず美味しい食事をごちそうしてくれてはげましてくれたことがあった。

「あの彼、見るからに軽そうだったし浮気性っぽかったしね」
「え?」

努のことを色々相談したことはあったけど、華絵さんに直接紹介したことはないはずなのに、どうして?

きょとんと首を傾げると、華絵さんがウエイターさんに向かって手を挙げる。

「彼氏って試写会の時に美月ちゃんのことをしつこく口説いてた人でしょ? じゃあ美月ちゃんもランチセットでいいよね」
「あ、はい。……え?」

歩いてきたウエイターさんにてきぱきと注文をする華絵さんをぽかんとしながら見ていると、首をかしげられた。

 
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