狼社長の溺愛から逃げられません!
涙で濡れた顔を持ち上げられ、驚いて瞬きをすると唇を塞がれた。
「……んんっ」
開いた唇の間から湿った舌が差し込まれ驚いて身を引くと、社長の唇が追いかけてきてすぐに塞がれる。
それまではずっと触れるだけのキスだったのに、突然内側まで暴くような乱暴なキスをされ、背筋がぞくぞくと粟立った。
「ん……、や……っ」
うっすらと目を開けると、涙で潤んだ視界に社長の顔が写った。
私の頬を支えていた手がゆっくりと耳の後ろをなぞり後頭部に回る。逃がさない、と言うようにさらにキスが深くなる。
「ん、あっ……」
情熱的なキスに、唇から吐息が漏れた。
背筋からも腰からも力が抜けて、ふにゃふにゃになってしまいそうだ。
ひとりじゃ立っていられなくて、社長の胸にすがるようにしがみつくと、私を抱きしめる腕に力がこめられた。
ゆっくりと唇が離れ、とろんとしながら社長のことを見上げていると、整った顔を歪ませて小さく笑う。