狼社長の溺愛から逃げられません!
 


休みの日。気持ちを切り替えたくて、朝から家の中の大掃除をした。

天気がよくてよかった。

窓を全開に開け放ち外から吹き込む涼しい風に目を細めながら、あちこち細かいところまでほこりをとって掃除機をかける。

掃除のついでにいらないものを全部処分してしまおうと、大きなゴミ袋を持って腕まくりをした。

努とふたりで買ったペアの食器も、努が泊まるときに使っていた枕も、ふたりで写った写真も。
もう必要ないと思ったものは、ためらうことなく処分する。

そして努が私の部屋に置いていったマンガの本やDVDなんかをダンボールに詰めガムテープで蓋をして、はぁーっと息を吐き出した。


あとはこれを努の自宅の住所に送ってしまえばいい。
片付いた部屋を見回し、うんうんと満足してうなずく。

なんだか気分がすっきりしたかも。
物を減らしたせいか、住み慣れたワンルームの部屋がまえよりもずっと明るく感じる。


 
< 88 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop