狼社長の溺愛から逃げられません!
 



「なのに、なんでこんなことにっ……!」


前向きで楽しかった気分が打ち砕かれ、私はひとり頭をかかえていた。

両手いっぱいに抱えた荷物。
左手に持ったふたつの紙袋の中には、それぞれシーツとカーテン。右手に持ったビニール袋の中にはカップやお皿なんかの食器とかわいいカトラリー。そしてひと目惚れして買ったホーローのお鍋とケトル。

インテリアから食器まで売っている大型家具店で、ガラガラとカートを押しながらあれこれ目につく物をどんどん買って、我にかえったのはお金を支払ったあと。

いくつもの大きな袋につめてもらった商品を見て、その量の多さに冷や汗が浮かんだ。

なんとか持つことはできるけど、ひとりで持つには重すぎてヨロヨロとしか前に進めずに、お店を出て数十メートルで力尽きた。


さすがにこれは、ちょっと浮かれて買いすぎたかもしれない。

駅まで歩く道の途中で疲れ切って、とりあえず道端に荷物を置いて休憩していると空から水滴が落ちてきた。


 
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