狼社長の溺愛から逃げられません!
「本当にすみません」
助手席で何度も頭を下げる。
「いいから。寒くないか?」
そういいながら車内の温度を上げてくれる社長に、また深く頭を下げる。
「はい。大丈夫です」
ずぶ濡れの私を、社長は助けてくれた。
シートが濡れるからダメです! と慌てる私を無視して、持ちきれないほどの荷物をあっというまに後部座席に乗せ、私を助手席に押し込んだ。
「それにしてもお前、なにやってんだよ」
「お買い物をしてたら、ちょっと買いすぎちゃって」
「ちょっとじゃねぇだろ」
運転席から、ちらりとうしろの座席を見て笑う。
「俺が通りかからなかったら、どうするつもりだったんだよ」
「……ひたすら困ってたと思います」
偶然通りがかった社長が助けてくれたからよかったけど、あのままひとりだったらタクシーに乗せてもらうことも出来ず、自力で荷物を運ぶことも出来ず、雨の中でオロオロするばかりだったと思う。