【完】雨ふって、恋、始まる。
#03 贈り物
#03 贈り物
翌朝、カーテンをあけると部屋いっぱいに日が差し込んできた。
セイくん、いってたよね。明日は晴れるかな……って。
見事に晴れたね。そっちも、晴れてますか?
東京は、遠い。大人になれば、そんなに遠くはないかもしれないけれど。
中学生のわたしにとっちゃ、まず、簡単に行ける範囲ではない。
「あら。今日は、もう起きてたの? いつもギリギリまで寝てる子が、珍しいわね」
お母さんが、部屋にわたしを起こしに来た。
……セイくん、お仕事頑張ってるかな。
「また、会えるかな」
「お嫁さんにしてもらうんでしょ?」
「なっ、あれは……、冗談に決まってるよ」
「そうかな。お母さんには、そうは見えなかったけどね」
「連絡先もなにも、わからないし」
聞けばよかった……。
聞いて教えてくれたかは、わからないけど。
「会いに行けばいいのよ」
「東京なんて遠いし。行っても広いのに会える可能性なんて低いよ」
「お母さんは、きっと、二人はまた会えると思うな」