【完】雨ふって、恋、始まる。
梨衣菜の話を聞いて、更にはCDジャケットの写真を見て、驚愕の事実が判明した。
__星くんは、アイドルだった。
「星くん知ってる?」と聞けば、
「うん!」「そりゃあね」
大半の女の子が、そう答えた。
「ちょっと、やばくない!?」
「どうしたの?」
「星くん、この街で目撃情報があるよ」
__!
「うそー!? いつ?」
「昨日の夜。駅前に似た人がいたんだって」
「こんなとこにホンモノが来てたの?」
「そっくりさんじゃないの?」
「まあ、その可能性はあるだろうね」
「でも、来てたなら会いたかったなぁ~。ね? 美琴」
えっ。
「美琴も星くんにハマりつつあるんでしょ?」
「いや……」
わたし、会ったよ。というか、相合い傘したし……
うちに来たよ。眠ったセイくんに、密着されちゃったよ……!!
__なんて、言えるわけない。
お祭り騒ぎはわたしの脳内だけにしておく。
「絵なんて描いて……ファンレターでも送るの?」
「ファンレター?」
「事務所宛に出したら届くんだよ」