【完】雨ふって、恋、始まる。
月日は流れ、わたしは高校三年生になった。
「__俺と付き合わない?」
完全に夏服に移行した、6月のある日。
放課後の教室で、クラスメイトから告白された。
「……ごめん」
「なんで? 今付き合ってるやつ、いないんだろ」
「うん」
「なら、いいじゃん」
「好きな人、いるから」
「……九条星?」
「…………」
わたしがセイくんを好きなことは、周囲に隠すことなく割とオープンだった。端から見たら、アイドルヲタだと思われているのかもしれない。
いや、実際問題、そうなのかもしれない。
「マジかよ。夢みすぎじゃない?」
セイくんは、わたしの初恋の男の子だ。
「わたしの勝手でしょ」
「現実みろよ」
わかってるよ、そんなこと。
でも
でも……
「……好きなんだもん」
「どうかしてるよ、お前。アイドルに本気になるとかあり得ないから」