【完】雨ふって、恋、始まる。


 *


「シャワーと、それから……着替えもありがとうございます」

「いいのよ。パパのじゃ、ちょっと大きかったみたいね」


お母さんに催促されるがままにシャワーを浴び、お父さんの部屋着を身にまとって登場したセイくん。


し〇むらとかユニ〇ロで買ってきたであろうシンプルなシャツとゆったりしたルームウェア的なものを着ているのだが……。


反則級にカッコイイ。


よく見ると、大きい割に裾の方の生地足りてないし。うちのお父さん、足短いな!?


「セイくんの服は、今乾燥機かけてるから待っててね。咽かわいてない?」


あんな高そうなシャツやパンツをうちの乾燥機でかけて大丈夫なのお母さん!?


よくわからないけど、ブランド物っぽく見えたよ……?


少なくとも同年代男子はまず着ていないような雰囲気のやつ。


「お気遣いなく。それより、慌ただしい時間にすみません」

「いいのいいの。美琴が友達連れてくるなんて初めてなのよ。セイくんさえ大丈夫なら、ゆっくりしてって?」


友達じゃないし。


「それじゃ、お言葉に甘えてもう少しいさせてもらいます」

「そうこなくっちゃ。ご飯食べてってよ」

「いいんですか?」

「もちろん。できたら呼ぶから、美琴と遊んでてね」

「いえいえ、お手伝いします」

「ほんと? 優しいのね、セイくんは」

「普通です。よくしてもらったお礼をかねて」


なに。なんなの、この展開は……?


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