【完】雨ふって、恋、始まる。
「ここが、美琴の部屋?」
「そうだよ」
っていうか、さり気なく名前で呼ばれてるんだよね。しかも呼び捨て。
「……散らかってるね」
失礼な……!! このくらい、普通だし!!
「あはは、怒らないで。ごめんごめん」
顔色を読まれてしまった。
「……なにかあったの?」
「え?」
「あんなとこで、雨に濡れてたから」
「いったでしょ。祖父の家に帰省してるって」
「ほんとに?」
沈黙が流れる。
少しして、セイくんが口を開いた。
「嘘だよ」
__!
「なんとなく乗った電車で、適当な駅で降りて、歩いてただけ」
「……東京に済んでるっていうのは?」
「それはほんと。都内でルームシェアしてる」
「ルームシェア?」
「他人と住んでるんだ。部屋は別々なんだけと、リビングや風呂場は共同で使ってる」
なにそれ。大人な感じ……!
「高校生くらいかと……思ってた」
そんなに自由があるあたり、大学生……とか?
「一応高校生だよ。通信制のね」