幼なじみとさくらんぼ7/8


「ベタベタ触られてるけどいいんですか?」

私の隣で同じように窓を覗きながら裕子が言った。


たしかにベタベタと触られている。自然なのか故意なのかは分からないけど「先輩~」とハチを呼ぶたびに後輩の手がハチの体に……。

はあ、とため息をついたのは裕子のほう。


「私の彼氏だったら絶対キレてる。むしろここから水ぐらいかける勢いだよ」

そんな裕子を想像したら「……あははは」と笑って誤魔化すしかない。


「彼女がいるから触らないでって八島くんも言えばいいに。むしろそう言うように七海から頼んだら?」

「うーん。でもそれをはっきり言っちゃうハチはハチじゃないっていうか……。女の子に冷たくしてるハチはなんか私もイヤだしさ」

「七海は相変わらず甘いなー」


ヤキモチは妬くけど、犬のようにリードで繋いでおきたいわけじゃない。ハチの意思はハチのものだし、私がああして、こうしてとお願いするのは違う気がして。

だけどやっぱり触られすぎなのは事実で……。
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