幼なじみとさくらんぼ7/8


後輩ということは、やっぱりハチのファンの可能性が高くなってきた。きっと彼女である私に嫉妬のような感情を持って、ハチのことだって遠くから監視してたのかもしれない。

それを証拠にハチに見つかってモゴモゴと口ごもっている。


「えっと、えっと……」

後輩の顔がみるみる赤くなっていって、空の夕焼けが負けそうなほど。指先を不自然に動かして、その緊張がこっちにまで伝わってくる。


「えっとその……」

後輩がチラッと私を見た。


私は半年前までは恋愛経験なんて0だったし、今だって分からないことのほうが多いけど、こういうシチュエーションは〝アレ〟だって分かる。

ハチは理解できなくて首を傾げてるけど、顔を赤くしてモジモジとしてる理由なんてひとつしかないでしょ。


こういう場合はどうしたらいいの?

ただの幼なじみの時だったら空気を読んでこの場から去るけれど、今はハチと付き合ってるわけだし……。

いや、でもそれを分かってて打ち明けるなんて相当な勇気だよ。私じゃ真似できない。

同じ女として、この子の決意を無駄にしたくない。
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