幼なじみとさくらんぼ7/8

◇◇◇◇


「俺はしないよ、協力なんて」

その日の夜、ハチは私の部屋にいた。

晩ごはんは自分の家で食べたのにお風呂から出て部屋に向かうとハチがゴロゴロと漫画を読んでいた。

ハチが毎回クマのクッションを背もたれに使うから今じゃ鼻がぺしゃんこ。新品の時はあんなに愛らしい顔をしてたのに……。


「どうせお節介だって思ってるんでしょ?」

私は髪の毛が半乾きのまま勢いよくベッドに座った。


ハチが協力しないことぐらい、あのやる気のない顔を見れば分かる。ハチは人の恋愛には興味がない。私だってハチと付き合ってなかったら断っていたかもしれない。

全然ラブラブじゃないし、幼なじみの関係のまま平行線のような気もするけど。

少なからず恋愛は楽しいものだと知ったから。

だから、泣きそうな顔を見たら放っておけなかったの。
  

「田村に好きなヤツがいたらどうすんだよ」

ハチが正論を言う。

……そうか。その考えは思いついてなかったかも。
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