幼なじみとさくらんぼ7/8
「あ!八島先輩だ!」
「ヤバいっ!今日もカッコいいっ!」
ハチが校門を抜けて学校の敷地内に入ると、すぐに聞こえてくる黄色い声。
ハチがモテることは今に始まったことじゃない。だけど2年生になって後輩ができて〝八島先輩〟なんて言われるようになったハチの人気っぷりは最近さらにヒートアップしている。
「ナナ。俺自転車置いてくるから待っててね」
「う、うん」
そして当の本人は相変わらず、のほほんとしているから私が代わりにいつもソワソワとしてしまう。
「ねえ、あの人って八島先輩の彼女でしょ?」
ドキッ。
背後からの突き刺すような視線。
そう、ハチが注目されればされるほど彼女である私の注目度も上がっていく。
常に見られているせいか、どんなに忙しい朝でもボサボサの髪の毛ではいられなくなってしまった。
「でもさ、彼女って幼なじみなんでしょ?」
後輩が口にするのはいつも同じ言葉。