幼なじみとさくらんぼ7/8


◇◇◇◇



そして日曜日になり、花火大会当日を迎えた。
約束した時間にハチと会場に行くと、美樹ちゃんが「先ぱーい!」とこっちに手を振っていた。

どうやらまだ田村くんは来ていないようだ。


「美樹ちゃん、浴衣可愛いね!」

ピンク色のアサガオ模様で、椿のかんざしもよく似合っている。

きっと田村くんのために着てきたのだろう。その心情だけで私は頑張れと力が入ってしまう。

「あ、こっち!」と、ハチが手招きする方向には田村くんの姿が。美樹ちゃんを見ると、すでにガチガチに緊張していて、私もなんだかソワソワしてしまう。


「け、圭介先輩……!」

私が美樹ちゃんのことを話す前に、美樹ちゃんは自分から声を出した。


「わ、私、富永美樹って言います。圭介先輩とは同じ中学出身で、あの……」

「うん。知ってるよ。陸上部だったよね?」

「お、覚えてくださってたんですか?」

「うん、覚えてるよ」

美樹ちゃんはすでに泣きそうな顔をしていた。


私は事前に田村くんになんの説明もしてなかったし、もう少し戸惑ってしまうかなって思ったけど、そうならなくてホッとした。

もしかしたらハチが田村くんに『後輩の子がくるよ』と伝えてくれていたのかもしれない。

協力しないなんて言っていたけど、ハチが誰よりも優しいことは私が一番知っている。


「とりあえず集まったし、歩こうか」

私たちは花火がはじまるまで、出店でなにかを食べることにした。

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