幼なじみとさくらんぼ7/8
そのあと約一万発の花火を見て、同じ方向だからと美樹ちゃんと田村くんは一緒に帰っていった。
「あー綺麗だったね、花火!」
まだ耳の奥でドン!という音が残っている。
家までの道のりをハチと私は手を繋いで歩いていた。
辺りは真っ暗だけど空には満天の星が輝いていて、なんだかとてもロマンチック。
だからかな。なんだか今日はまだ帰りたくない。
家は隣同士だし、距離的には近いんだけど、なんていうか、まだハチと離れたくないのだ。
「今日、うちに泊まる?」
ハチが私の心を読んだみたいに言った。静かだった心臓がまた花火みたいに跳ねはじめる。
「なんか商店街のくじ引きで温泉旅行が当たって1泊2日で母ちゃんたちはいないけど」
少しの沈黙。だけどそれを打ち破ったのは……。
「と、泊まる!」
思いのほか響いてしまった私の声。
ハチはちょっと、いやかなりビックリしていた。きっといつものように私がはぐらかすと思っていたのだろう。
「あー、えっと自分から言って申し訳ないんだけど、うち布団がないんだよね。だからナナの家から持ってきて……」
「ハ、ハチと同じでも大丈夫!」
そしてまたハチは目を丸くさせた。