幼なじみとさくらんぼ7/8
「幼なじみってズルいよねー。それだけで有利っていうか勝ち目ないじゃん」
「しかも家も隣同士なんだって。あの八島先輩と24時間一緒にいられるなんて超うらやましー!」
全部丸聞こえの噂話。せめて声のボリュームは落としてほしい。
そして24時間はさすがに一緒にいないし、そうなったら私はハチの世話でげっそりとしそうだよ。
そもそも家が隣なんて、一体どこから情報が漏れるんだろう。
注目を浴びるのも楽じゃない。
「おはよう、七海」
それからハチが戻ってきて、昇降口で靴を履き替えていると後ろから肩を叩かれた。
「あ、裕子。おはよー」
「なんか疲れてない?大丈夫?」
友達が少ない私にとって裕子はまさに親友といえる存在。大人っぽくて優しくて、裕子の顔を見ると自然とホッとできる。
「平気平気!今日も朝からバタバタしてたから」
「ああ、旦那が原因ね」
「……もう!その呼び方やめて!」
「はは、ごめん」
思えばハチと付き合うことを最初に報告したのは裕子だった。
なんだかんだずっと私たちをくっつけようとしてたし、報告したら自分のように喜んでくれたことは今でも忘れない。