過去形はきっと、全てが思い出
そして、始まる物語

外柔内剛

【中学一年、春】

中学生になってから、すこし経った頃。

やっとクラスの全体の性格・顔・名前を、ある程度覚えることができた。

俺が、未来の彼女─寒田葵─に初めて会ったのはこの時──一緒のクラスになったときだった。

葵は、勉強も運動も、人に気遣いも出来る、笑顔の多い少女だった。友達も多く、いつも楽しそうだった。
その分モテていたが、告白されても一度も頷いたことは無かったらしい。

当時の俺は、特に気にしたりしてなかった。


【中学三年、秋】

俺と葵は三年でもクラスが一緒になった。

そして、我が中学にも、いよいよあの行事が迫っていた。
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