過去形はきっと、全てが思い出
今日は一斉下校なので、いつものメンバーを校門で待つ。

そういえば、寒田は友達とかいるのだろうか。

同じクラスだが、あまり気にした事も無かったし、よく分からない。

男女の差は結構あるしな。

男子の場合、よく話したらもう、友達って感じだと思うのだが..。
そう思っているのが俺だけじゃ無いことを願うが。

女子の場合は...見てる限り、道のりが長そうな感じがする。
しかも、恋愛になるとすぐに縁を切りそうなくらいに黒い。

まぁ、それは個人の見解であり、ただの印象だが。

俺が昇降口から出てきたときに、確か女子は誰も出てきてなかったな...。
なんてことを考えていると、

「栄太~帰ろうぜっ」
「おう」
                           サトウヨシカズ
この元気良くこちらに走ってきたやつが、俺の一番の友達の佐藤吉和。
小学校の頃からの仲である。

「あ~あ、明日も学校かよ~。しかも体育祭とか...まじ疲れる.....」
「毎年それ言ってるな」

「事実だし――――ってか、文化祭は大爆笑してたわ」
「うるせ」
「なかなか演技うまかったぞ~?...ふふふふ、はははは!やっと手に――」

「や・め・ろ?」
俺は吉和にむかって笑顔でそう言った。

「はいはーい」
と吉和はつまらなそうに返事をする。

「ま、これはお前の弱点ってこったなぁ!ふっ、ぷっ、ぶっ」
「シャラップ」

なーんて、くだらない、普通の会話をしながら帰った。

それは、素晴らしい時間。
それは、楽しかった時間。

俺の『今』には無い、かけがえのないもの。
俺の語る『過去』の物語はまだまだ長い。

いつかこの物語が誰かの役に立つ事を願い、この物語――もとい、この者語をまだ語っていくことにする。
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