きみ
「ただいま~」

実家の玄関を開けリビングへ向かう。

丁度、夕食の時間帯だったので台所で料理している母親が見えた。

「母さんただいま。」

「えっ!!亮どしたん?急に?」

「僕、今日からここで住むから。」

「あんた、仕事は?」

「辞めてきた。」

「どして?」

「なんとなく?」

『癌なんだ』とは言えなかった。

「まぁ、ええわ。話はあとから聞くけん座っとき。父さんすぐ帰ってくるしご飯もできるけん。」

「あぁ。」
< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop