振った男 振られた女〜20年〜
私があの女と知り合ったのは
医師になりたての
大学の研修医の頃だった

私の勤務先は 大学からも遠い
海辺の関連病院だった

私はここで初めての一人暮らしで

そんな私を心配したのか
姉が見合いをしないかと言う

相手は義兄の職場のアルバイトだった

私はなにかと理由をつけては
返事をしなかった

先伸ばしにしていたものの
義兄の顔を潰すわけにもいかず

実家に帰ったときの
ついでに会うことにした

これで義兄の顔もたち
姉も安心するだろう

実際に会ってみると
また 会ってもいい気がした

私は不覚にも電話をし
その後 何度か会った

義兄の手前もあって
結婚を前提に交際することにした
もう30歳も超えていたし
そうすることが義務だと思った

結婚しませんかときいたら
返事をしたので
女の家に挨拶に行った

その後 女には正社員の話もあったが
義兄の親戚になるのだからと退社した

会社に打ち明けていいかと相談された

私には関係ないことだった

そうこうしているうちに
大学に戻ることになった

実家から医局に通うようになって
あまり女と会えなかった
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