振った男 振られた女〜20年〜
私は泣いた
彼が一人で決めてしまったことの
すべてに 泣いた

医者だから結婚したかっただけだろうと
いわれた気もする
私は更に泣いた

そんなことではない

どんなに言葉を尽くしても
彼には伝わらなかった

だから 言ってみたのだ

「不履行で訴えたらどうするの」



「親も財産かけて闘うって」

それは打合せ済みのような
淀みない答えだった

私は最後に一つだけ頼んだ

「 私と出会ったことを忘れないで
思い出さなくていいから 」



泣き続ける私に
彼は

「もう いい?」

ときいた

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