いじめっ子には愛の鎖を
オフィスへ帰ると、すでに淳太君の姿はなかった。
どうやら家に帰るついでにオフィスに寄っただけのようで、淳太君の机には新しい名刺と大量のシンガポール土産が置かれていた。
名刺には、係長という役職が追加されている。
大企業であるこの会社では、三十歳前半で係長になるのが通常の昇進コースだ。
二十八歳で係長になった淳太君は、出世コースを順調に歩んでいる。
そんな淳太君が素直に凄いと思った。