いじめっ子には愛の鎖を
7. いじめっ子は無神経
「あのー……
藤井さん、なんかウザいんですけど」
岡部君の言葉ではっと我に返った。
完全にピンクの世界に入っていたあたしは、慌てて姿勢を正す。
あたしの頭の中は、昨夜の優しい淳太君でいっぱいだった。
思い返すだけで身体が悲鳴を上げにやけてしまう。
そんなあたしとは違い、淳太君は朝から通常モードだ。
電話で英語のやり取りをして、手際よく資料を作っていく。
淳太君はあたしがいて、緊張しないのだろうか。
照れたりしないのだろうか。
昨夜は痛いほどの愛を感じたと思ったのに、一晩明けたらいつも通りだった。
二回目の夜は甘い幻想に終わった。