いじめっ子には愛の鎖を
8. いじめっ子は宣言した





ー淳太sideー







俺は必死で桃華を追いかけた。

小柄だが逃げ足が速い桃華に追いつけなく、オフィス街を小走りで駆け抜けた。

勤務先のビルが見え、桃華はスカートを翻してビルに入る。

あいつ……何するつもりなんだ!?

嫌な予感でいっぱいだった。






そんな時、



「淳太」



俺を呼ぶ声が聞こえる。

思わず振り返ると、美智香が立っていた。

昔と変わらない、営業部らしいキリッとしてスーツ姿の美智香。

顔は美人なほうだ。

その顔の表情一つ変えず、



「何してるの?」



俺に聞く。

そんな美智香に



「悪い、急いでて」



言い放ち、桃華のあとを急ごうと思った。

だが、手をぎゅっと引っ張られる。




「なんだか焦っていて、淳太らしくないよ。

今日はあたしと飲みにでも行こう?」



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