いじめっ子には愛の鎖を







淳太君はボディーソープのいい香りがした。

ほんのり髪が濡れていて、顔にぺたんと張り付いていて、その無防備な感じがまたあたしの胸をくすぐる。

あたしを抱きしめる腕はあの頃と同じで、優しく力強く、ぎゅうぎゅうとあたしを締め付ける。

真っ赤な顔で上を向くと、淳太君と瞳がぶつかって、さらに顔に血が上る。





「淳太君、おかえり」




震える声で告げるあたしを見て、淳太君は嬉しそうに笑った。

その笑顔にまた焦げてしまった。





「なぁ、桃華」




淳太君は甘い低い声であたしに聞く。




「俺のこと、まだ好きか?」




吐息が耳にかかり、ぞわっとする。

こくりと頷いたら、そっと唇を重ねた。



< 17 / 235 >

この作品をシェア

pagetop