いじめっ子には愛の鎖を
「今井君が帰ってくる」
オフィスはその話題で持ちきりだった。
今日は、三年間シンガポールに駐在していた淳太君が日本へ帰ってくる日。
三年間待ちわびたその日がとうとうやってきたのだ。
あたしの隣には、何も置かれていない綺麗なデスク。
また淳太君と隣同士で仕事が出来ると思うとすごく嬉しい。
「今井君、やつれて帰ってくるかな?」
「いや、今井のことだから、現地人に混ざって楽しんでいるだろう」
「向こうで女作っていたりな」
口々に話す先輩たち。
だけどあたしは話に入れなくて下を向いた。
鼓動は止まりそうなほど速い。
平静を装うのに顔がにやけてしまう。