いじめっ子には愛の鎖を





「あぁそうだ、忘れていた。

僕はずっと断っていた見合いを受けることにした。

めでたく成婚に至れば、式には君たちも呼んであげよう」



ぽろっと零した赤木さんに、



「あれ、赤木さん?

桃華ちゃんはもういいんですか?」




不思議そうに鮎川さんが聞く。

そんな鮎川さんを見て、赤木さんは尚も真面目にお堅く告げる。




「世の中には不毛な恋もある。

僕はようやく新たな一歩を踏み出すことが出来たのだ」





その言葉を聞き、素直に嬉しかった。

昨日は赤木さんを利用して罪悪感でいっぱいだった。

赤木さんはいい人だが、その恋愛感情には応えられない。

だから、赤木さんが素敵な人と一緒になれることを心から祈っている。



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