いじめっ子には愛の鎖を
玄関のチャイムを押すと、家の中から物音がした。
そしてしばらくして……
「はーい」
内側から扉が開かれる。
俺は身を固くして、扉の向こうの人物を見た。
彼女はテレビで見るよりもずっと優しくて、母親らしい顔で桃華を見る。
「あら桃華!……と、淳太君?」
その桃華みたいな顔で見られると胸がぞわっとしてしまい、
「お久しぶりです。突然すみません」
俺は努めて平静に答える。
だが、緊張で手が震えていた。
そんな俺の震えに桃華は気付いてしまったのだろうか。
そっと左手に右手を重ねた。
桃華に触れると少しだけ気持ちが和らいだ。
そして、やっぱり愛しく思う。
俺はこんな桃華を、全てを賭けて愛し続けたい。