いじめっ子には愛の鎖を
「藤井さん」
不意に赤木さんに呼ばれて我に返る。
なんと、赤木さんはオフィスいち出勤時間が早い。
六時代には出社し、優雅にコーヒーでも飲んでいるらしい。
そんな早朝出社の赤木さんは、
「君にちょっと聞きたくてね」
あたしのほうへ歩いてきて、淳太君の席に座る。
その、優雅なコーヒーを持ちながら!
淳太君に支配されていた心がようやく解放され、ホッとする。
こんな時に赤木さんに助けられるとは思ってもいなかった。
「君も知っているように、僕は学生時代にドラムをしていた。
その後しばらくご無沙汰だったが、最近昔の仲間と集まって、バンドを再結成することにしたのだ。
だが、なかなか上手くいかなくて。
君のお父さんは有名なドラマーだ。
君は何か僕にアドバイス出来ないか?」
「アドバイスって……」