いじめっ子には愛の鎖を
「おはようございます」
不意に懐かしい声が聞こえた。
その声を聞いた途端、胸が甘い音を立てる。
萎れている花が水を浴びて元気になるように、身体をどくどくと血液が巡る。
こんなにも彼が愛しいと思えるなんて、あの頃からは想像もつかなかった。
「今井君、おかえり」
上司が笑顔で迎え、
「これからまたよろしくお願いします」
頭を下げながら淳太君はこっちへ歩いてくる。
小さめのスーツケースを引きながら。