いじめっ子には愛の鎖を







「おはようございます」




不意に懐かしい声が聞こえた。

その声を聞いた途端、胸が甘い音を立てる。

萎れている花が水を浴びて元気になるように、身体をどくどくと血液が巡る。

こんなにも彼が愛しいと思えるなんて、あの頃からは想像もつかなかった。






「今井君、おかえり」



上司が笑顔で迎え、



「これからまたよろしくお願いします」



頭を下げながら淳太君はこっちへ歩いてくる。

小さめのスーツケースを引きながら。

< 6 / 235 >

この作品をシェア

pagetop