いじめっ子には愛の鎖を





平静を装おうとして、資料に見入る。

だが、頭には何も入ってこない。

そんなあたしの耳に、新たな言葉が飛び込んでくる。





「でもまぁ俺、彼女いるから」



「……え?」





思わず顔を上げて淳太君を見てしまった。

淳太君の瞳と視線がぶつかって真っ赤になる。

彼は面白そうに口角を上げてあたしに告げる。





「どうした、藤井?

お前の嫌いな俺に恋人がいるから驚いているのか?」





淳太君は意地悪だ。

わざとそんなことを言っているのだろう。

気にしないと思うのに、胸のドキドキが止まらない。


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