好きな人が現れても……
プロローグ
愛妻弁当
「…ねぇ見た?野村課長のお弁当」
お昼時の社員食堂で、最近話題になってる話を耳にする。
「見た見た。今日はハンバーグが入ってたね」
「彩りにはグリーンアスパラ、オニギリはふりかけの混ざったコロコロタイプだったよ」
「ミニオムレツとミニトマトも入ってたような」
「ああーいいなぁ。美味しそうー」
キャーキャーと燥ぎながら通り過ぎて行く女子の群れを横目で眺め、モグッと自作の弁当をつつく。
話題の中心になってるのは、庶務課の課長のお弁当の中身。
いつも色がキレイで可愛くて、美味しそうだね…と皆の噂に上る。
「インスタにあげればいいのに」
「そんなのもうしてるって」
「誰がよ」
「そりゃ勿論……ね?」
「うん、決まってる」
「……奥さんか」
はぁ〜…っと一気にテンションが下がるテーブルの雰囲気を感じ取りながら、モグッとご飯を噛みしめた。
「葉月」
「何?」
モグモグと噛んでる時に話しかけられると舌を噛んでしまいそう。
「少しは話に乗ってきなよ。付き合い悪いぞ」
同じ庶務課の杏梨ちゃんが笑い、まっ、そういうクールなとこが葉月だけど…と言いだす。
「私は別にクールでもないよ」
そう言って微笑み返し、お弁当の鮭の切り身を口に頬張る。
お昼時の社員食堂で、最近話題になってる話を耳にする。
「見た見た。今日はハンバーグが入ってたね」
「彩りにはグリーンアスパラ、オニギリはふりかけの混ざったコロコロタイプだったよ」
「ミニオムレツとミニトマトも入ってたような」
「ああーいいなぁ。美味しそうー」
キャーキャーと燥ぎながら通り過ぎて行く女子の群れを横目で眺め、モグッと自作の弁当をつつく。
話題の中心になってるのは、庶務課の課長のお弁当の中身。
いつも色がキレイで可愛くて、美味しそうだね…と皆の噂に上る。
「インスタにあげればいいのに」
「そんなのもうしてるって」
「誰がよ」
「そりゃ勿論……ね?」
「うん、決まってる」
「……奥さんか」
はぁ〜…っと一気にテンションが下がるテーブルの雰囲気を感じ取りながら、モグッとご飯を噛みしめた。
「葉月」
「何?」
モグモグと噛んでる時に話しかけられると舌を噛んでしまいそう。
「少しは話に乗ってきなよ。付き合い悪いぞ」
同じ庶務課の杏梨ちゃんが笑い、まっ、そういうクールなとこが葉月だけど…と言いだす。
「私は別にクールでもないよ」
そう言って微笑み返し、お弁当の鮭の切り身を口に頬張る。
< 1 / 255 >