好きな人が現れても……
嫉妬…と言う言葉に胸が軽く疼く。

紺野は横山が好きなのか…と思い、『分かった』と応じたのだが……。


頼まれた伝言は半分しか伝えなかった。
半分だけ伝えると、それを聞いた横山が顔を上げ、驚く様な目をした後で黙り込んだ。


それを見たら、何故か先は言えなかった。
本当に好きな奴がいるんだと、その時しみじみ気がついたからだ……。




「美味いか?」


横山の作ったデザートを食べる娘に聞いた。

「うんっ!」と語尾を跳ね上げて返事をする真央を愛しいと思う。


「ハヅキちゃんいい人だね、ひろ」


「お前とは相当歳が離れてるのにハヅキちゃんか?」


お友達じゃないんだぞ…と笑う。
頬っぺにチョコを付けたままで、真央はすっかり機嫌を良くしてる。


「優しいし、お料理上手。また来て欲しいな」


「多分それは無理だよ。彼女には好きな人がいるらしいから」


「それってひろのこと?」


「違うよ。別の男性」


「ふーん、そうなのかぁ」


オマセなことを言いながらも真央は食べるのを止めない。

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