好きな人が現れても……
ママと女の子。
手を繋いで楽しそうにお話してる。

あんな風に真央ちゃんもママと話が出来ればいいのに………


「えっ、葉月じゃない…!」


不意に振り返ったママが私の名前を呼んだ。
涙で曇った目に映った人は……


「……相川……さん……」


鼻にかかった声を聞き、彼女はどうしたの?と駆け寄る。
小さな女の子の手を握ったまま、二人で私の側へやって来た。


「どうしてこんな時間にここに?もしかしてとは思うけど残業?」


驚いてる。
私は、はい…と言ったまま何も言えずに黙った。


泣いてるものだから怪訝そうな顔をされた。
相川さんは女の子の顔を見て、それから私の方に振り向いた。


「……ねぇ葉月、貴女ご飯がまだなら今から一緒に食べない?実は私もさっき仕事が済んだばかりなの。そこのファミレスでどう?娘もきっと喜ぶから」


ね?…と女の子を見ると、嬉しそうに頷く。

私が彼女を見ると、恥ずかしそうに相川さんの後ろに隠れた。


「ほら、隠れてないでご挨拶は?」


ママらしく促し、女の子はオドオドしながら、ミモリです…と呟く。

< 167 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop