好きな人が現れても……
ファミレスの席に着きながら、相川さんはポンと言い放った。


「とんでもない!そんなつもりじゃ…」


慌てて弁解すると、相川さんは葉月には分からないよね…と溜息を吐く。


「片親で働くことの厳しさ。自分以外に親がいないことへの不安とプレッシャー。

子供はどんどん大きくなるのに、自分は逆に年を取っていくの。
いつまで元気で働けるか分からないし、私が倒れたらどうしたらいいか…なんてことも全部」



「……相川さん…」


オフィスでは絶対に見せたりしない不安そうで心細そうな眼差し。

シングルの親にしか、きっと感じれないものがあるのだ……。


「何でも出来て何でも言える若い頃はいいのよ。若さだけで乗り切ることが出来るし、言いたいこともやりたいこともし放題だし。
自由で気ままで気軽で……」


愚痴っぽくなってる。
でも、そうかもしれない。


「私のこと…課長もそんな風に見てるのかな…」


溢した言葉に相川さんが押し黙る。
メニューを先に決めようと言われ、カルボナーラに決めた。


相川さんはハンバーグのセットを頼み、美杜ちゃんはお子様セットにした。


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