好きな人が現れても……
大人だから?
同じ子供を持つ親だから?

一人で子育ての責任を背負ってるから?
だから、こんなにも相川さんの言葉は説得力があるの?


「私が課長の役に立ちたいと言っても迷惑だって言われました…。有難いけど受け取れない…って」


「うん…彼なら言いそうね」


ドリンクを取ってきた美杜ちゃんは嬉しそうに小さな口で吸ってる。
可愛いけど切なくて、どうしても課長のとこの真央ちゃんと被る。


「…だけど私、それでも課長の役に立ちたいんです。真央ちゃんのことも笑顔にしてあげたいし、元気で男の子みたいにパワフルだけど、やっぱり寂しい筈だから」


「そんなにまで気にするってことは何?葉月はやっぱり野村課長のことが好きなの?」


前にも聞いたことあるけど…と言われた。
あの時は口にしてはいけないと思って黙った。
だけど、今は……



「好きです。課長のことを全部、丸ごと教えて欲しいし知りたい。でも、どうしてもムリみたいで……」


課長には拒否されて、だけど諦めのつかないバカな私。
気持ちばかりが膨らんで、何処にも持っていけない……。


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