好きな人が現れても……
よろめいた彼女の体が九十度回転し、ドア側の壁に背中がくっ付きそうになる。
その両肩を握りしめ、壁に押え付けるようにして止めた。
ビクッと彼女の肩が竦み、眼差しが俺のことを直視する。
「……か、課長…?」
声が少し震えてる。
それが堪らなく色っぽい響きに聞こえる。
「…どうしてそんなに俺のことを追ってくるんだ。君はまだ若くて誰でもいい男が出来るだろうに」
そう言いながら髪の毛を掬い上げ、くるくると指先に巻きつける。
「好んで俺みたいな寡を選ばなくてもいいんだよ。もっと優しくて君を満足させてくれる相手を選べよ」
そう言いながらも顔を近づけ、彼女の頬を触った。
千恵が亡くなってから初めて他の女性に手を触れた。
「…温かいな。若くて、本当に綺麗だ…」
ドクン、ドクン…と胸の音が加速する。
心の何処かで止めろと叫んでる声がするが、気のせいだろう。
「俺で良ければ一晩くらいなら相手をしてやってもいいよ。横山さんは俺のことが好きなんだろうから」
どんな顔でそれを言ったのかは謎だ。
けれど、横山葉月は不快に満ちた目で見ていた。
その両肩を握りしめ、壁に押え付けるようにして止めた。
ビクッと彼女の肩が竦み、眼差しが俺のことを直視する。
「……か、課長…?」
声が少し震えてる。
それが堪らなく色っぽい響きに聞こえる。
「…どうしてそんなに俺のことを追ってくるんだ。君はまだ若くて誰でもいい男が出来るだろうに」
そう言いながら髪の毛を掬い上げ、くるくると指先に巻きつける。
「好んで俺みたいな寡を選ばなくてもいいんだよ。もっと優しくて君を満足させてくれる相手を選べよ」
そう言いながらも顔を近づけ、彼女の頬を触った。
千恵が亡くなってから初めて他の女性に手を触れた。
「…温かいな。若くて、本当に綺麗だ…」
ドクン、ドクン…と胸の音が加速する。
心の何処かで止めろと叫んでる声がするが、気のせいだろう。
「俺で良ければ一晩くらいなら相手をしてやってもいいよ。横山さんは俺のことが好きなんだろうから」
どんな顔でそれを言ったのかは謎だ。
けれど、横山葉月は不快に満ちた目で見ていた。