好きな人が現れても……
「なんだ、その顔つきは。もしかして嫌なのか?」


そんなことないだろう…と笑えば目を背ける。
そんな態度を取られると余計でもおかしな気分に陥るーー。


頬に当てていた指先を動かし、顎を掴んで振り向かせた。
ビクッと震える彼女の顔を眺め、支配したい気分に襲われた。



「……君の願いなら……叶えてやるよ…」


そう言うと唇を奪った。
彼女は咄嗟に口を閉じて抵抗を試みたが、それを舌でこじ開けた。


抑え込んでる肩にも力が入り、首を左右に振り回そうとする。



「……んっ…う…っ…」


止めて、と言いたそうに声を漏らすが、それが返って俺を煽った。

何度も角度を変えて吸い付き、三年以上ぶりに味わう唇の柔らかさと口腔内の甘さに完全に酔い痴れていた。


最早、相手が誰だったかなんて、そんなもの何処かにぶっ飛んでいたーーー。





「や……めっ……て……」


やっと声を出せた横山は、ドン!と両手で突き飛ばした。

後ずさった俺との距離は彼女の腕の長さに匹敵している。


頬を上気させ、荒く息を弾ませたままで俺を見定める。泣き出すことも出来ずにその場所に突っ立っていた。


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