好きな人が現れても……
私を選んで欲しい…とは言えない。
選ぶのは課長だし、その現実にぶち当たるのも彼だ。

だけど、そこへぶつかる前に、誰かをもう一度だけ好きになって欲しい……。


「……感じるだろうな。だけど、それも運命だと思ってるよ」


諦めてるような言葉を言って寂しそうに笑った。
そんな課長を見たくて話を聞かせてもらおうと思ったんじゃない。



「……私はイヤです!」


ガシッと組んでた課長の両手を握った。
膝立ちをして、彼のことを下から睨んだ。


「ダメです!そんな人生を送ったら、奥さんだって悲しみます!

もう一度誰かと愛し合って欲しいと願ってたんでしょう?
どうしてその思いに応えてあげようとしないんですか!?

また先に死なれたら怖い?
そんなの課長が先に死ぬことだってあるんですよ!?

人の命なんて明日は分からないの。
だから、今を精一杯生きてるんでしょう!?

それなのに課長は捨て鉢に生きるんですか!?
これから先も同じように真央ちゃんの成長だけを思って生きていくの!?


それだけでいいの!?どうなんですか!?
課長!!」


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