好きな人が現れても……
笑ってるんだけど、課長の目は寂しそうに見えた。
ホントは誰かに甘えたい様な雰囲気が窺えて、酔ってる勢いもあって話に割り込んでいってしまった。



「ちょっといいですかー?」


後から思えば、これから取る行動の全てがキッカケになった。
だけど、この時の私は酔いが全ての原動力になったかのように喋りだした。


「さっきから伺ってたら何ですかー?課長は、誰にも甘えられない環境に置かれてるんですかー?上司になると、甘えも認めて貰えないの?だったらいつ、誰に甘えればいいんですかー?」


話の内容も把握せずに、大きな声で「それって変でしょう!」と言い切ってた。

課長と部長は顔を見合わせ、二人して私の名前を呼んで落ち着かせようとした。


「横山さん?」

「横山くん、落ち着け」


二人に制されると余計に腹が立ってきて、週末からの言い出せない自分の気持ちも重なり、意地のようになって「いーえ!」と拒否った。


実は、その後で自分が何を言ったのかさっぱり記憶にない。

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