好きな人が現れても……
気付けばタクシーに乗せられ、自宅マンションに送り届けられてるところだった。
送ってくれてたのは相川さんで、彼女はトイレから戻ってくると私が課長達に管を巻いてるのを見てギョッとしたそうだ。


「まるで子供みたいだったわよ」


タクシーの車内では頭がズキズキとして痛かった。
ムカムカする吐き気もあって、喋ると嘔吐しそうで黙っていた。


「相変わらずお酒に弱いんだから」


頭の上から相川さんの声がして、すみません…と胸の奥で謝った。


「全く、何も知らないくせに話に加わったりして」


どうしようもない子…と呆れられた。

だけど、それがどういう意味なのかも分からず、気付けば車内で眠り込んでいた……。



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